社会保険労務士には興味があるけれど
「どのような試験なのだろう」
「どんな人たちが合格しているの?」
など、合格までのイメージがわかない人もいますよね。
具体的にイメージすることができれば、目指す目標もはっきりしてくるのではないでしょうか。
ここでは社会保険労務士試験の概要と合格者データについてご紹介します。
社会保険労務士試験の概要
社会保険労務士は労働・社会保険の専門家の国家資格です。社会保険労務士の資格者でなければできない業務がある業務独占資格であり、独立開業もできます。
社会保険労務士になるには、1年に1回実施される「社会保険労務士試験」に合格し、かつ、一定の実務経験を経た上で、社会保険労務士名簿への登録を受ける必要があります。
1年に1回しかない試験ですので、受かるためには事前によく確認しておく必要があります。
学歴による受験資格
実務経験による受験資格
- 労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員又は従業員として同法令の実施事務に従事した期間が通算3年以上
- 国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び特定独立行政法人、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上
試験合格による受験資格
試験科目
試験日・時間
年1回(8月)
- 午前:選択式(80分)
文章のなかの空欄を埋める問題 - 午後:択一式(210分)
複数の選択肢から正解を選ぶ問題
合格基準
合格基準点は、選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められます。合格基準点は、合格発表日に公表されます。
合格率
6~7%程度
申込期間
毎年4月中旬から5月31日まで
厚生労働大臣による試験の公示が行われた後に、受験案内等が公開されます。試験は厚生労働大臣の委託を受けた全国社会保険労務士会連合会が管轄し、社会保険労務士試験センターで事務を行っています。社会保険労務士試験オフィシャルサイトからインターネット申込みができます。
問い合わせ
社会保険労務士試験センター
社会保険労務士試験の合格者等
合格者は、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事、または厚生労働大臣が指定した講習を修了後に、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録することで、社会保険労務士となることができます。
※社会保険労務士登録者数は45,686人(令和6年8月31日現在)
令和6年に実施した社会保険労務士試験の合格者等は以下のとおりです。
受験申込者数
53,707人(うち科目免除者970人)
受験者数
43,174人(うち科目免除者806人)
合格者数
2,974人
合格率
6.9%
合格基準点
- 選択式試験
・総得点:25点以上
・各科目:労働に関する一般常識につき2点以上、その他3点以上 - 択一式試験
・総得点:44点以上
・各科目:全科目につき4点以上
試験科目の平均点
- 選択式試験
・労基法及び安衛法:3.5点
・労災保険法:3.7点
・雇用保険法:3.0点
・労働に関する一般常識:2.0点
・社会保険に関する一般常識:2.4点
・健康保険法:2.5点
・厚生年金法:3.1点
・国民年金法:2.8点
・合計:22.9点 - 択一式試験
・労基法及び安衛法:4.7点
・労災保険法:4.3点
・雇用保険法:3.9点
・労働及び社会保険に関する一般常識:4.0点
・健康保険法:3.8点
・厚生年金法:4.6点
・国民年金法:5.3点
・合計:30.6点
合格者の年齢別構成
- 20歳代以下(11.8%)
- 30歳代(32.5%)
- 40歳代(28.9%)
- 50歳代(19.2%)
- 60歳代以上(7.6%)
合格者の6割を30~40歳代が占めます。社会人としてキャリアを積みながら目指す人が多い資格だといえます。合格後は専門性を活かしてキャリアアップしたり、スキルを磨いてスペシャリストを目指す道があります。
合格者の職業別構成
- 会社員(59.9%)
- 無職(10.6%)
- 公務員(8.6%)
- 団体職員(4.9%)
- 自営業(4.2%)
- 役員(3.4%)
- 学生(0.7%)
- その他(7.7%)
合格者の職業の6割が会社員です。人事労務・総務系の部署で働くなかでキャリアアップを目指したり、他の業務であっても将来的に独立開業できる資格として目指す人が多いのでしょう。学生が極端に少ないのは、社労士の知名度が低かったり、仕事のイメージがわかないということかもしれませんね。
合格者の男女別構成
- 男性(61.1%)
- 女性(38.9%)
合格者は男性と女性が6:4の割合ですので、他の士業に比べると女性が多い資格だといえるでしょう。人事系の仕事においても比較的女性の割合が高い部署が多いと思いますので、社労士の試験結果にもその傾向が表れているのでしょうね。
(厚生労働省「第56回社会保険労務士試験の合格者発表」より)
資格取得後のキャリア
試験に合格することで、労働や社会保険の専門家として知識とスキルを証明することができるようになります。
資格の活用法
- 企業内社会保険労務士
企業の人事部門などに所属して労務管理や制度設計などを担当します。 - 独立開業
社労士事務所を開業して各種手続きや企業の労務管理をサポートします。 - フリーランス
コンサルタントや研修講師として活躍することができます。
資格取得のメリット
- 専門性の向上
労働・社会保険の専門家として評価されます。 - キャリアアップ
転職や独立開業などキャリアの可能性が広がります。 - 収入アップ
資格手当や年収アップなどの可能性があります。
まとめ
いかがでしょう。試験の内容や合格者の情報から自分も資格を目指すイメージができたでしょうか。
社会保険労務士になるには試験に合格しなければなりません。試験を受けるためにはどのような試験であるかを知っておく必要があるでしょう。1年に1回の試験ですので、早めに確認しておきたいところです。
イメージができたら、次はどのような勉強が必要になるのかを具体的にして合格までの計画を立てることをおすすめします。
社労士試験の学習計画についてはこちらの記事でご紹介します。
社労士の独学勉強法についてはこちらの記事でご紹介します。
社労士講座の活用法についてはこちらの記事でご紹介します。
まだまだ自分に合っているか、よくわからないという人も多いかもしれません。社労士資格の意義についてはこちらの記事でご紹介します。